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2010年4月22日木曜日

神経伝達速度....

まだ、足をつぶして間もない頃、

「2輪がダメなら、4輪じゃぁっ!」

なんて、懲りずにサーキットに通っていた頃の話です。


今はもう開催されていませんが、タイヤメーカーのブリジストン主催で、

「POTENZAドライビングレッスン」というものがありました。


これは、ブリジストンユーザーであれば参加でき、

午前中は座学、午後はサーキットで実走行というカリキュラムのもの。

自分の車で、時には鈴鹿サーキットのフルコースを走行できるという、

とてもありがたいレッスン内容でした。


とにかく、スズカを走れるという動機のみで参加していましたが、

座学もとても興味深いものとなっていました。

「性能円」というのもその一つです。




















上の図は、タイヤの性能(グリップ)は例えどんな車の操作をしようと、

この円からは絶対に出ないというものです。

ハンドルをまっすぐにしていて、アクセルの開け過ぎや、

滑りやすい路面でホイールスピンをするということは、

タイヤの性能(グリップ)は円を飛び出ることが出来ずに、滑り始める。

逆にブレーキでロックしてしまっても、同じです。

絶対にタイヤの性能(グリップ)は、円から出ることはないというものです。


当時のσ(^^には、大変勉強になりましたし、

少し形は変わるでしょうが、スキーにも応用が出来るでしょう。


最も影響を受けた講義に、「神経伝達速度」というものもありました。

現在でも、当時講義していただいた黒澤元治さんが研究中だといいながら、

惜しげもなく披露していただいた理論です。

1996年当時のこと、とても斬新なものであり、

今現在も、スポーツ全般に応用できるものだと信じています。


さて、どんな理論かと言いますと....

皮膚が感じた感触は、神経を伝って脳に届くわけですが、
( ↑ ステアリングインフォメーションというそうです)

感覚神経が情報を伝える速度は、30~100m/Sということらしいです。

1秒間に、ものすごくいい状態の神経組織であれば30m、

どれだけ状態が悪くても100mの速度で情報は脳に向かって進んでいきます。

黒澤さんは、大体50mぐらいが一般的な速度だとおっしゃっていました。


200km/hで走る車に乗っていて、例えばハンドルから伝わる感触が、

脳に届くまで、約0.02秒かかります。

その間に車は、約1m進んでいるわけです。

そして、脳に伝わった情報を元に体に指令を送り、さらに約0.02秒。

脳の処理速度は別にして、約0.04秒の間に車は約2m進んでいます。

2mというと、小柄なレーシングマシンだと車体の約半分弱、

車がスピンし始めていたら、立て直すのは難しい距離になってしまいます。


さあ、これをチェアスキーに置き換えてみるとどうでしょう。

σ(^^がおしりから感触を受けて脳まで0.8m、0.016秒、往復で0.032秒。

種目によって滑走スピードは違いますが、

例えば、ターンスピードを40km/mとします。

0.032秒の間に....約40cm。

100km/hのスピードで....約90cm。

板がズレた!と感じて、脳の処理速度を除いても、

その瞬間にとんでもなく外側に引っ張られるか、

斜面の下側に落とされることとなります。


板がズレなくても、きれいにターンしているつもりでも、

ターンを切り返す局面で、カラダが動き出すまで、

スキーはそんな距離を進んでいることになります。


ひとつのターンで0.032秒、ターン後半の動作が遅れるということは、


ターンが切れ上がって曲がりすぎてしまうということです。

そのわずかな遅れは最終的にターン後半、

理想とする切り返し点より、7.2cm上方外側に位置してしまう。

そうすると、次のターンの前半は7.2cmの余裕が生まれたように感じますが、

次のターンを同じターン弧で滑ると旗門にぶつかってしまいます。

つまりその分、前半は間延びし、後半はリズムを変えなければなりません。

リズムを変えるということは、さらに神経伝達速度によるロス(0.032秒)が

新たに生まれるわけで、下手をすればロスがミスを呼び、

そのままでは二度と理想的なラインに戻ることは難しくなります。


これが50旗門続いたとしたらどれほどの遅れになるか....

7.2cmの半径の違いで15cm円弧が長くなり、

滑るために0.011秒かかります。50旗門で0.55秒。

さらに、15cm大きなターン弧のラインを修正するとして、

ターン前半で1.2%のリスクが発生します。

このリスクを抱えてターンの前半のリズム変化だけで修正し、

最後の旗門まで滑り続けられればいいですが、

それが破綻したときの修正のために、どれほどの時間を費やすか....


単純に、単調な斜面で単調な旗門セットだと考えても、

神経伝達速度の遅れは、それだけでこんなにロスすることがわかりました。

この差を埋めるにはどうすればいいのか、

次回、「脳の処理速度はどこまで上げられる?」で、

もう少し考えてみましょう。

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