「世界への扉」....
σ(^^が競技活動に明け暮れていた昨年まで、よく口にしていた言葉です。
ようやくドアノブに手が届き、ドアを開けようとした瞬間!
強い静電気を食らって思わず手を離してしまったというオチでしたが(^^;
今日は、σ(^^が開けられなかった扉、
その扉を開けようとしている国内の戦士たちのお話です。
「2013全日本チェアスキーチャンピオンシップIN志賀」
日本チェアスキー協会が主催する国内戦のひとつ。
この大会は、毎年1月下旬に志賀高原西館山スキー場で開催されています。
もう、チャンピオンシップは21回目の開催。
西館山での開催は、2001年からですから13回目になるんですねぇ(^^
ジャパンチームの海外遠征が同じ時期に行われている時期。
近年は少し寂しいエントリー数ですが、
そんな中でも、ナショナルチーム入りを、海外での活躍を夢見るプレーヤーが集います。
今期、σ(^^は諸般の事情により参加することはかなわなかったのですが、
この大会も「まるで見てきたように」書いてみましょう♪
リザルトをお手元にお付き合いください(^^
この大会は、本当にたくさんのボランティアの方々にお世話になっています。
会場となる西館山スキー場、温泉ホテルイタクラ様へのアクセスには、
駐車場から少しの距離の移動と、障害者には少々つらい斜面を登る必要があります。
そんな中でも、
チェアスキーや何セットものスキーを担ぎ上げてもらい、
スノーモービルで体を上げてもらいと....
大会スタッフの方々のご協力がなければ、
ここまで長く続き、盛り上がることはなかったでしょう。
本当にありがとうございます(^^
26日(土)早朝、物々しくプロテクターを装着した選手たちが、
ホテル前でチェアスキーに乗り込んでいきます。
この日のレースは回転(SL)。
地元にスキークラブがあって、
そのトレーニングに混ぜてもらえるようなことでもない限り、
SLは、「レースがトレーニング」となる場合が多いですねぇ。
σ(^^も菅平高原に通い始めるまでは、全く同じ状況でした。
ぶっつけ本番どころか「SLってなに?」というレベルでの参加はとても痛々しいものです(^^;
いや、本当に「痛々しい」んですよ。
ポールをなぎ倒しながら滑り降りていくのですが、その衝撃といったら....
ゴーグルのレンズは割れるは、
「!」ってびっくりするぐらいに打ち身が腫れるは、
海外では足の骨を折る選手もいたとか....(^^;
そんなこんなも、慣れてくればそんなに影響の無いように滑ることが出来るのですが、
「速く滑る=痛い」という矛盾と戦いながら、みんな経験を積み上げていきます(^^
西館山スキー場のSLコースプロファイルは、
スタート標高1,469m、フィニッシュ標高1,337m。
標高差は132mとなっています。
IPCのルールでは、国内戦のSLの標高は80m~140mですので、
かなり長い距離のレースということですな(^^
ゲート数45、ターン数43。
標高差に対するターン数は32.6%。
国内戦としては、なかなかに本格的なコースセットです。
1本目のコースセッターはホテルイタクラ支配人、板倉裕木治様♪
いつもいつも、「実戦的」なセットをお立てになり、選手たちへ挑戦します(^^;
そして、経験の浅い選手たちが戸惑うことがもうひとつ。
この大会は、FISエントリーリーグ(FIS-ENL)が併催されているということ。
ENLは国際格式のレースで、健常者レースの「登竜門」的な扱いのレースです。
1本のコースで掛け持ちするレースならそんなに戸惑わないのですが、
この日は、ひとつのゲレンデにふたつのコースが現れます。
1ゲート目は同じものですが、そのゲートから左右に分かれる形で競技が行われるのです。
前夜の選手会では、左右どちらのコースを使うのか説明があるのですが、
インスペクションの時に必ずある会話は、「どっちに行くんだっけ?」です(^^
スタートハウスも共用。
1ゲート目をくぐって、「自分たち」のコースへ。
すぐ横にはENLのコースがありますから、コース幅を広く取ったセットは出来ません。
自然とターン弧は「縦長」になり、スムーズに滑れる代わりに、スピードが付いていきます。
45ゲートで作られるリズムはおそらく、
ヘアピン~ディレード~ヘアピン~ストレート~ディレード~ヘアピン
というところでしょうか。
スタートして5ゲートぐらいは単調なオープンゲート。
ゲートが縦に2つ並んだヘアピンでリズムを乱され、
ディレードは2ゲート1ターンの大きなリズム。
ストレートは、ゲートが縦に3つ。
それぞれの間には、5~6つのオープンゲートがあります。
慣れてくるまでは、ヘアピンやストレートといったリズム変化のあるゲートを、
目で探しながら滑ることになるでしょう。
リズム変化はつまりターンを細かくする必要がありますので、
切り返しに自信のない選手たちは、板をずらしてターンをしていきます。
その時、必ず起こる現象は、
「リズム変化の入り口」で雪面が大きく掘れていくということです。
公式発表では、天候は「SNOW」、雪質は「FRESH」ですから、
とても柔らかい雪が降り積もっていて、それは雪面を大きく荒らしていく原因にもなります。
このコースになれていない選手たちが、最後に迎えるのは4ゲート程度の急斜面。
ディレードの大きなターンでスピードを付けて飛び込み、最後の斜面でヘアピンが現れる。
慣れてくるまでは、これはなかなかにタフな状況です♪
さあ、みんなどのように攻めるかな?(^^
この日のエントリーは次の通り。
知的障害(ID)クラス女子がビブ(ゼッケン)ナンバー1~2、男子が3~9。
視覚障害(国内表記は「B」)クラスが、男子のみビブ10~11。
チェアスキー(国内表記は「座位」)クラスの女子がビブ12~15。
海外で言うStanding(国内では「立位」)クラスがビブ16番1名。
チェアスキー男子、ビブ17~26。
全26名のエントリーです。
元日本代表選手から、最近になって滑り始めた選手まで、かなりのレベルの幅があります。
きっと、インスペクションでは「講習会」さながらの風景になっていたことでしょう(^^
さて、そのとおりに滑り降りることは出来たかな?
その結果はリザルト参照!オイ(^^;
白状しますと....
チェアスキーの選手以外はそんなにつきあいがなかったので、
滑りがどうとかわかりません(^^;アシカラズ....
1本目にDisqualified(旗門不通過:DQ)だった、
チェア女子の梅野、奥山の両選手。
ゲートNO.37と39のところでそれぞれやっちゃったのですね。
ここは最後の急斜面に飛び込む前後でしょうから、
ゲートを見失っちゃったのかな?なんて考えます。
このおふたりには、まだお会いしたことがありませんが、
もしかしたら、最近チェアスキーに乗り始めたばかりで、
SLレースは全くの初めてだったのかも知れません。
DQはきっといい経験になるはずですよ♪
ちなみに....それぞれのお名前をググってみると。
奥山楽良選手はバスケットガールなの?
梅野裕理選手はヤマハのサポートを受けてるの?
いやはや、なかなか頼もしい選手たちじゃないですか(^^
日本のチェア女子にも、明るい未来が広がります♪
(注:このシリーズは、あくまでもリザルトから「想像」するものです。
勝手にググって間違った情報を書いていたらごめんなさい^^;)
チェア男子も荒れましたねぇ。
1本目でDid Not Finish(途中棄権:DNF)が4名。
純也さんまで何やってんだよ(^^;
....多分、かなり荒れた雪面だったんでしょう。
チェアスキークラスはLW10-1からLW12-2まで、
5段階で障害の度合いを分けています。
LW10はかなり強度の麻痺があり、
LW12は体幹機能はしっかりと残っています。
コースが荒れてくると、LW10の選手たちは姿勢を保ち続けることが難しくなりますので、
DNFは「宿命」みたいなものかも知れません。
26名中、「いなくなった」選手が9名。
荒れましたなぁ(^^;
サバイバルレースの様相を呈してきました。
こうなると、その選手が持っている、
「引き出し」の数が勝敗を分けることになるんでしょうか。
2本目のインスペクションも、「講習会」だったことでしょう。
そして、「特等席」でもあったはずです(^^
というのも、となりで行われているENLの1本目が続いていたからです。
スタートハウスから1ゲート目までは、ENLがレース中で入ることが出来ません。
インスペクションはおそらく、3ゲート目からしか見られなかったはず。
1~2ゲート目のラインは、横から眺めることしかできなかったことでしょう。
そして、コースへ入ってイメージを作り出したすぐ横では、
ENLの若者たちが駆け抜けていく。
思わず、見入ってしまう選手もいただろうなぁ....(^^
健常だから、チェアスキーだからという違いはなくて、
同じスキー板を使用しているわけですから、
同じように滑ることが出来るはずなんです。
すぐそばで若者たちの滑りをみて、どのように思ったかな?(^^
ところで、ゲレンデの半分が使えず、
1本目の荒れたラインを避けて立てられた2本目のセットは、
1本目とほぼ左右対称のコースになっているでしょう。
リズムの取り方もほぼ一緒。
最後の急斜面へのアプローチだって大きく変わることはないはずです。
ゲート数、ターン数が1本目と同じ45(43)という数字なのもそういう理由。
こういったセットを攻める場合、気をつけなければならないことがあります。
「鏡に映したような」というほどでもなくても、
同じようなリズムで、1本目と左右対称のコースの場合、
コース中盤あたりから「錯覚」を感じることがあります。
1本目のリズムの記憶が、2本目の途中で蘇ってきて混乱してしまったりするのです。
また、左右逆で同じようなコースを、
ターンの左右差なしに滑り降りることも難しいのです。
誰でも左右の癖は必ずありますからね。
そのあたりを明確に意識していないと、
コースは間違うわ、集中力が続かないわ....
あげくの果てに、1本目から降り続いている雪もやむ気配なし!
みんな、気をつけて滑ってね♪ッテ、モウオソイカ(^^;
さて、2本目の結果はいかに?
チェア女子の優勝は村岡桃佳選手!
彼女は新進気鋭の高校生レーサー。
昨年末から年越しNORAM CUPへ遠征していました。
そんな経験が少しずつ開花し始めたかな?
堂々の優勝です!
男子チェアは....元代表の高村俊彦選手!
押しも押されぬ名レーサー、今も健在!
村岡選手、高村選手、優勝おめでとうございました!!
しかしまあ、2本目も荒れましたな(^^;
5名の選手が未帰還....
2本あわせて14名の選手がいなくなってしまいました。
1本目のDid Not Start(不出走:DS)を除いて、完走率44%!
生き残ったみなさん、お疲れ様でした(^^;
さて、翌27日はスーパー大回転(SG)と大回転(GS)が開催されます。
毎年のことですが、SGとGSの2レースを走るのはとてもタフな仕事(^^;
みんな、お疲れ様でございます。
明日は、このチャンピオンシップ2日目と、
障害者アルペンスキー世界選手権のDownHill(滑降:DH)のトレーニングランの模様を、
「まるで見てきたように」お伝えいたします♪
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